[通知]「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「選定療養及び特定療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について
第3 保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める基準等(掲示事項等告示第3及び医薬品等告示関係)
目次
1 特別の療養環境の提供に係る基準に関する事項(1) 療養環境の向上に対するニーズが高まりつつあることに対応して、患者の選択の機会を広げるために、(2)の要件を満たす病床について保険医療機関の病床(健康保険法(大正11年法律第70号)第63条第3項第1号の指定に係る病床(健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第26条の規定による改正前の介護保険法(平成9年法律第123号)第48条第1項第3号に規定する指定介護療養施設サービスを行う同法第8条第26項に規定する療養病床等を除く。)に限る。以下第3において同じ。)の数の5割まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。
(2) 療養環境については、患者が特別の負担をする上でふさわしい療養環境である必要があり、次の①から④までの要件を充足するものでなければならないこと。
① 特別の療養環境に係る一の病室の病床数は4床以下であること。
② 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること。
③ 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること。
④ 少なくとも下記の設備を有すること。
ア 個人用の私物の収納設備
イ 個人用の照明
ウ 小机等及び椅子
(3) (1)にかかわらず、厚生労働大臣が次に掲げる要件を満たすものとして承認した保険医療機関にあっては、当該承認に係る病床割合まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。
① 当該保険医療機関の所在地を含む区域(医療法(昭和23年法律第205号)第30条の4第2項第10号に規定する区域をいう。)における療養病床(同法第7条第2項第4号に規定する療養病床をいう。)及び一般病床(同法第7条第2項第5号に規定する一般病床をいう。)の数が、同法第30条の4第1項に規定する医療計画において定める当該区域の療養病床及び一般病床に係る基準病床数に既に達しており、かつ、特別の療養環境に係る病床数の当該保険医療機関の病床数に対する割合を増加しても患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないこと。
この場合においては、当該保険医療機関におけるこれまでの特別の病室の稼働の状況、特別の病室の申し込みの状況等を勘案し、当該保険医療機関の特別の病室を増加しても、患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないかどうか判断するものとすること。
② 経験を有する常勤の相談員により、特別の療養環境の提供に係る病室への入退室及び特別の料金等に関する相談体制が常時とられていること。
③ 必要に応じ、患者を適切かつ迅速に他の保険医療機関に紹介することができる等の他の保険医療機関との連携体制が整えられていること。
④ 当該保険医療機関における特別の療養環境の提供に係る病室のすべてについて、一の病室の病床数が2床以下であり、かつ、病室の面積及び設備については(2)の②から④までの要件を充足するものであること。
⑤ 算定告示別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)第1章第2部第1節又は別表第二歯科診療報酬点数表(以下「歯科点数表」という。)第1章第2部第1節に規定する7対1入院基本料及び10対1入院基本料、療養病棟入院基本料(特別入院基本料を除く。)並びに有床診療所入院基本料1を算定する保険医療機関であること。ただし、平成24年3月31日現在において現に承認を受けている有床診療所については、平成26年3月31日までは当該要件を満たしているものとみなす。
⑥ 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第19条第1項第1号及び第2号に定める医師及び歯科医師の員数を満たしていること。
⑦ 厚生労働大臣から当該承認を受ける前6月間において掲示事項等告示第3の基準に違反したことがなく、かつ現に違反していないこと。
(4) (3)の承認に係る病床割合については、次の事項を基準として設定すること。
① 医科点数表又は歯科点数表に掲げる療養環境加算、重症者等療養環境特別加算等を算定する病室として当該保険医療機関が届出を行っている病室における病床は、承認に係る病床から除外すること。
② 特定集中治療室、小児特定集中治療室、新生児特定集中治療室、母体・胎児集中治療室、一類感染症患者入院医療管理治療室等患者の治療上の必要があるために入院するものとして設けられている病室における病床は、承認に係る病床から除外すること。
③ 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院をいう。)、救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院等、「救急医療対策の整備事業について(昭和52年医発第692号)」に規定された保険医療機関等において救急患者のために設けられた専用病床等は、承認に係る病床から除外すること。
④ ①から③までのほか、当該保険医療機関におけるこれまでの特別療養環境室以外の病床への入院状況、特別療養環境室への入院希望の状況、救急患者の割合等を総合的に勘案し、特別療養環境室に係る病床以外の病床を一定割合確保すること。
(5) (1)及び(3)にかかわらず、特定機能病院以外の保険医療機関であって、国又は地方公共団体が開設するものにあっては、その公的性格等にかんがみ、国が開設するものにあっては病床数の2割以下、地方公共団体が開設するものにあっては病床数の3割以下としたこと。
(6) 特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。
(7) 特別療養環境室へ入院させた場合においては、次の事項を履行するものであること。
① 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数、特別療養環境室の場所及び料金を患者にとって分かりやすく掲示しておくこと。
② 特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切に丁寧に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させること。
③ この同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。なお、この文書は、当該保険医療機関が保存し、必要に応じ提示できるようにしておくこと。
(8) 患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合としては、具体的には以下の例が挙げられること。なお、③に掲げる「実質的に患者の選択によらない場合」に該当するか否かは、患者又は保険医療機関から事情を聴取した上で、適宜判断すること。
① 同意書による同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
(例)・救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者
・免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者
・集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者
・後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
・クロイツフェルト・ヤコブ病の患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
③ 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
(例)・MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させたと認められる者
なお、「治療上の必要」に該当しなくなった場合等上記②又は③に該当しなくなったときは、(6)及び(7)に示した趣旨に従い、患者の意に反して特別療養環境室への入院が続けられることがないよう改めて同意書により患者の意思を確認する等、その取扱いに十分に配慮すること。
(9) 患者が事実上特別の負担なしでは入院できないような運営を行う保険医療機関については、患者の受診の機会が妨げられるおそれがあり、保険医療機関の性格から当を得ないものと認められるので、保険医療機関の指定又は更新による再指定に当たっては、十分改善がなされた上で、これを行う等の措置も考慮すること。(3)に掲げる保険医療機関については、特に留意すること。
(10) 平成6年3月31日現在、従来の特別の病室として特別の料金を徴収している病室が(2)の②に掲げる要件を満たしていない場合は、当該病床を含む病棟の改築又は建替までは経過的に当該要件を課さないこととするが、早急に改善されるべきものであること。
(11) 保険医療機関は、特別の療養環境の提供に係る病床数、特別の料金等を定期的に地方厚生(支)局長に報告するとともに、当該事項を定め又は変更しようとする場合には、別紙様式1により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとすること。
2 病院の初診に関する事項(1) 病院と診療所の機能分担の推進を図る観点から、他の保険医療機関等からの紹介なしに医療法第7条第2項第5号に規定する一般病床に係るものの数が200床以上の病院を受診した患者については、自己の選択に係るものとして、初診料を算定する初診に相当する療養部分についてその費用を患者から徴収することができることとしたところであるが、当該療養の取扱いについては、以下のとおりとすること。なお、病床数の計算の仕方は、外来診療料に係る病床数の計算方法の例によるものであること。
① 患者の疾病について医学的に初診といわれる診療行為が行われた場合に徴収できるものであり、自ら健康診断を行った患者に診療を開始した場合等には、徴収できない。
② 同時に2以上の傷病について初診を行った場合においても、1回しか徴収できない。
③ 1傷病の診療継続中に他の傷病が発生して初診を行った場合においても、第1回の初診時にしか徴収できない。
④ 医科・歯科併設の病院においては、お互いに関連のある傷病の場合を除き、医科又は歯科においてそれぞれ別に徴収できる。
⑤ ①から④までによるほか、初診料の算定の取扱いに準ずるものとする。
(2) 初診に係る特別の料金を徴収しようとする場合は、患者への十分な情報提供を前提として、患者の自由な選択と同意があった場合に限られるものであり、当該情報提供に資する観点から、「他の保険医療機関等からの紹介によらず、当該病院に直接来院した患者については初診に係る費用として○○○○円を徴収する。ただし、緊急その他やむを得ない事情により、他の保険医療機関からの紹介によらず来院した場合にあっては、この限りでない。」旨を病院の見やすい場所に患者にとってわかりやすく明示するものとすること。
(3) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とすること。
(4) 特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式2により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとすること。
(5) 国の公費負担医療制度の受給対象者については、「やむを得ない事情がある場合」に該当するものとして、初診に係る特別の料金の徴収を行うことは認められないものであること。
(6) いわゆる地方単独の公費負担医療(以下「地方単独事業」という。)の受給対象者については、当該地方単独事業の趣旨が、特定の障害、特定の疾病等に着目しているものである場合には、(5)と同様の取扱いとすること。
(7) 社会福祉法(昭和26年法律第45号)第2条第3項第9号に規定するいわゆる無料低額診療事業の実施医療機関において当該制度の対象者について初診に係る特別の料金の徴収を行うこと、及びエイズ拠点病院においてHIV感染者について初診に係る特別の料金の徴収を行うことは、「やむを得ない事情がある場合」に該当するものとして認められないものであること。
3 予約に基づく診察に関する事項(1) 予約診察による特別の料金の徴収に当たっては、それぞれの患者が予約した時刻に診療を適切に受けられるような体制が確保されていることが必要であり、予約時間から一定時間(30分程度)以上患者を待たせた場合は、予約料の徴収は認められないものであること。
(2) 予約料を徴収しない時間を各診療科ごとに少なくとも延べ外来診療時間の2割程度確保するものとする。なお、この時間帯の確保に当たっては、各診療科における各医師の同一診療時間帯に、予約患者とそうでない患者を混在させる方法によっても差し支えないものとする。
(3) 予約患者でない患者についても、概ね2時間以上待たせることのないよう、適宜診察を行うものとすること。
(4) 予約患者については、予約診察として特別の料金を徴収するのにふさわしい診療時間(10分程度以上)の確保に努めるものとし、医師1人につき1日に診察する予約患者の数は概ね40人を限度とすること。
(5) 上記の趣旨を患者に適切に情報提供する観点から、当該事項について院内に患者にとってわかりやすく掲示するとともに、病院の受付窓口の区分、予約でない患者に対する受付窓口での説明、予約患者でない患者への番号札の配布等、各保険医療機関に応じた方法により、予約患者とそうでない患者のそれぞれについて、当該取扱いが理解されるよう配慮するものとすること。
(6) 予約料の徴収は、患者の自主的な選択に基づく予約診察についてのみ認められるものであり、病院側の一方的な都合による徴収は認められないものであること。
(7) 予約料の額は、社会的に見て妥当適切なものでなければならないこと。
(8) 特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式3により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとすること。
(9) 専ら予約患者の診察に当たる医師がいても差し支えないものとすること。
4 保険医療機関が表示する診療時間以外の時間における診察(以下単に「時間外診察」という。)に関する事項(1) 本制度は、国民の生活時間帯の多様化や時間外診察に係るニーズの動向を踏まえて創設されたものであり、したがって、本制度の対象となるのは、緊急の受診の必要性はないが患者が自己の都合により時間外診察を希望した場合に限られ、緊急やむを得ない事情による時間外の受診については従前通り診療報酬点数表上の時間外加算の対象となり、患者からの費用徴収は認められないものであること。
(2) 本制度に基づき時間外診察に係る費用徴収を行おうとする保険医療機関は、時間外診察に係る費用徴収についての掲示をあらかじめ院内の見やすい場所に患者にとってわかりやすく示しておかなければならないこと。
(3) 社会通念上時間外とされない時間帯(例えば平日の午後4時)であっても、当該保険医療機関の標榜診療時間帯以外であれば、診療報酬上の時間外加算とは異なり、本制度に基づく時間外診察に係る費用徴収は認められるものであること。
(4) 患者からの徴収額については、診療報酬点数表における時間外加算の所定点数相当額を標準とすること。
(5) 患者からの徴収額及び標榜診療時間帯を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式4により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとすること。
5 金属床による総義歯の提供に関する事項(1) 本制度は、有床義歯に係る患者のニーズの動向等を踏まえて創設されたものであること。
(2) 金属床総義歯とは、義歯床粘膜面の大部分が金属で構成されていて顎粘膜面にその金属が直接接触する形態で、なおかつ金属部分で咬合・咀嚼力の大部分を負担できる構造の総義歯をいうものであること。
(3) 金属床総義歯を提供する場合は熱可塑性樹脂を用いたものとみなして保険外併用療養費を支給するが、その費用は患者に対し実際に行った再診、顎運動関連検査、補綴時診断、印象採得、仮床試適、義歯製作(材料料を含む。)、装着及び新製有床義歯管理(1回のみ)に係る所定点数を合計して算出すること。
(4) 金属床総義歯に係る費用については、社会的にみて妥当適切なものでなければならないこと。
(5) 本制度に基づき、金属床総義歯に係る費用を徴収する保険医療機関は、金属床総義歯の概要及び金属床総義歯に係る費用について、あらかじめ院内の見やすい場所に患者にとってわかりやすく掲示しておかなければならないこと。
(6) 本制度が適用されるのは、患者に対して総義歯に関する十分な情報提供がなされ、医療機関との関係において患者の自由な選択と同意があった場合に限られるものであること。
(7) 保険医療機関が、保険外併用療養費及び特別の料金からなる金属床総義歯に係る費用等を定めた場合又は変更しようとする場合は、別紙様式5により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとすること。
(8) 患者から金属床総義歯に係る費用徴収を行った保険医療機関は、患者に対し、保険外併用療養費の一部負担に係る徴収額と特別の料金に相当する自費負担に係る徴収額を明確に区分した当該費用徴収に係る領収書を交付するものとすること。
(9) 本制度に基づき、金属床総義歯の提供を行った保険医療機関は、毎年定期的に金属床総義歯に係る費用を含めた金属床総義歯の実施状況について、地方厚生(支)局長に報告するものとすること。
6 医薬品の治験に係る診療に関する事項(1) 保険外併用療養費の支給対象となる治験は、薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第16項の規定によるもの(人体に直接使用される薬物に係るものに限る。)とすること。
(2) したがって、治験の実施に当たっては、薬事法及び薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)の関係規定によるほか、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)によるものとすること。
(3) 保険外併用療養費の支給対象となる期間については、治験の対象となる患者ごとに当該治験を実施した期間とすること。
(4) 保険外併用療養費の支給対象となる診療については、治験依頼者の依頼による治験においては、医療保険制度と治験依頼者との適切な費用分担を図る観点から、治験に係る診療のうち、検査及び画像診断に係る費用については、保険外併用療養費の支給対象とはせず、また、投薬及び注射に係る費用については、当該治験の対象とされる薬物の予定される効能又は効果と同様の効能又は効果を有する医薬品に係る診療については、保険外併用療養費の支給対象とはしないものとする。また、自ら治験を実施する者による治験においては、治験に係る診療のうち、当該治験の対象とされる薬物の予定される効能又は効果と同様の効能又は効果を有する医薬品に係る投薬及び注射に係る費用については、保険外併用療養費の支給対象とはしないものとする。なお、いずれの場合においても、これらの項目が包括化された点数を算定している保険医療機関において治験が行われた場合の当該包括点数の取扱いについては、当該包括点数から、当該診療において実施した保険外併用療養費の支給対象とはならない項目のうち当該包括点数に包括されている項目の所定点数を合計した点数を差し引いた点数に係るものについて、保険外併用療養費の支給対象とすること。
(5) 保険外併用療養費の支給対象となる治験は、患者に対する情報提供を前提として、患者の自由な選択と同意がなされたものに限られるものとし、したがって、治験の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる等の場合にあっては、保険外併用療養費の支給対象としないものとすること。
(6) 自ら治験を実施する者による治験において、患者から当該治験の対象とされる薬物の薬剤料等を特別の料金として徴収する場合、当該特別の料金の徴収を行った保険医療機関は、患者に対し、保険外併用療養費の一部負担に係る徴収額と特別の料金に相当する自費負担に係る徴収額を明確に区分した当該特別の料金の徴収に係る領収書を交付するものとすること。
(7) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とすること。
(8) 保険外併用療養費の支給対象となる治験を実施した保険医療機関については、毎年の定例報告の際に、治験の実施状況について、別紙様式6により地方厚生(支)局長に報告するものとすること。また、特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式6の2により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとすること。
7 う蝕に罹患している患者の指導管理に関する事項(1) 本制度は、小児う蝕の再発抑制に対するニーズが高まりつつあることを踏まえて創設されたものであること。
(2) 本制度の対象となる指導管理(以下「継続管理」という。)は、う蝕多発傾向を有しない13歳未満の患者であって継続的な管理を要するものに対するフッ化物局所応用又は小窩裂溝填塞による指導管理に限られるものとし、保険外併用療養費の額は、再診料、歯科疾患管理料(初診日の属する月については、再診料)及び歯科衛生実地指導料に係る所定点数を合計して算出すること。なお、13歳以上の患者については、本制度の対象としないこと。
(3) フッ化物局所応用及び小窩裂溝填塞に係る費用については、社会的にみて妥当適切なものでなければならないこと。
(4) 本制度に基づき、フッ化物局所応用及び小窩裂溝填塞に係る費用を徴収する保険医療機関は、継続管理の概要並びにフッ化物局所応用及び小窩裂溝填塞に係る費用について、あらかじめ院内の見やすい場所に患者にとってわかりやすく掲示しておかなければならないこと。
(5) 本制度が適用されるのは、患者又は患者の保護者に対して継続管理に関する十分な情報提供がなされ、医療機関との関係において患者の自由な選択と同意があった場合に限られるものとすること。
(6) 保険医療機関が、フッ化物局所応用及び小窩裂溝填塞に係る費用を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式7により地方厚生(支)局長に報告するものとすること。
(7) 患者又は患者の保護者からフッ化物局所応用及び小窩裂溝填塞に係る費用徴収を行った保険医療機関は、患者に対し、保険外併用療養費の一部負担に係る徴収額と特別の料金に相当する自費負担に係る徴収額を明確に区分した当該費用徴収に係る領収書を交付するものとすること。
(8) 本制度に基づき、継続管理の提供を行った保険医療機関は、毎年定期的にフッ化物局所応用及び小窩裂溝填塞に係る費用を含めた継続管理の実施状況について、地方厚生(支)局長に報告するものとすること。
8 200床(医療法第7条第2項第5号に規定する一般病床に係るものに限る。)以上の病院の再診に関する事項(1) 病院と診療所の機能分担の推進を図る観点から、他の病院(医療法第7条第2項第5号に規定する一般病床に係るものの数が200床未満のものに限る。)又は診療所に対し文書による紹介を行う旨の申出を行ったにもかかわらず、当該病院を受診した患者については、自己の選択に係るものとして、外来診療料又は再診料に相当する療養部分についてその費用を患者から徴収することができることとしたものであるが、同時に2以上の傷病について再診を行った場合においては、当該2以上の傷病のすべてにつき、以下(2)~(4)の要件を満たさない限り、特別の料金の徴収は認められないものである。なお、病床数の計算の仕方は、外来診療料に係る病床数の計算方法の例によるものであること。
(2) 外来診療料又は地域歯科診療支援病院歯科再診料を算定する療養に相当する療養が行われた場合に特別の料金を徴収することができるものである。
(3) 再診に係る特別の料金を徴収しようとする場合は、患者への十分な情報提供を前提とされるものであり、当該情報提供に資する観点から、必要な情報を病院の見やすい場所に患者にとってわかりやすく明示するものとする。
(4) 他の病院又は診療所に対する文書による紹介を行う旨の申出については、当該医療機関と事前に調整した上で行うものとし、以下の事項を記載した文書を交付することにより行うものであること。また、当該文書による申出を行った日については、特別の料金の徴収は認められないものであること。
ア 他の病院又は診療所に対し文書により紹介を行う用意があること。
イ 紹介先の医療機関名
ウ 次回以降特別の料金として○○円を徴収することとなること。
(5) その他、病院の初診に関する事項の(3)から(7)の取扱いに準ずるものとする。
9 医療機器の治験に係る診療に関する事項(1) 保険外併用療養費の支給対象となる治験は、薬事法第2条第16項の規定によるもの(機械器具等に係るものに限る。)とすること。
(2) したがって、治験の実施に当たっては、薬事法及び薬事法施行規則の関係規定によるほか、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成17年厚生労働省令第36号)によるものとすること。
(3) 保険外併用療養費の支給対象となる診療については、治験依頼者の依頼による治験においては、医療保険制度と治験依頼者との適切な費用分担を図る観点から、治験に係る診療のうち、手術若しくは処置又は歯冠修復及び欠損補綴の前後1週間(2以上の手術若しくは処置又は歯冠修復及び欠損補綴が行われた場合は、最初の手術若しくは処置又は歯冠修復及び欠損補綴が行われた日から起算して8日目に当たる日から最後の手術若しくは処置又は歯冠修復及び欠損補綴が行われた日から起算して8日を経過する日までの間とする。)に行われた検査及び画像診断、診療報酬上評価されていない手術及び処置並びに歯冠修復及び欠損補綴並びに当該治験に係る機械器具等に係る費用については、保険外併用療養費の支給対象とはしないものとする。また、自ら治験を実施する者による治験においては、治験に係る診療のうち、診療報酬上評価されていない手術及び処置並びに歯冠修復及び欠損補綴並びに当該治験に係る機械器具等に係る費用については、保険外併用療養費の支給対象とはしないものとする。なお、いずれの場合においても、保険外併用療養費の支給対象とされない検査等が包括化された点数を算定している保険医療機関において治験が行われた場合の当該包括点数の取扱いについては、当該包括点数から、次の点数を差し引いた点数に係るものについて、保険外併用療養費の支給対象とすること。
ア 当該診療において実施した当該検査等の所定点数
イ 当該機械器具等を使用するために通常要する費用に基づき算定した点数
(4) 保険外併用療養費の支給対象となる治験は、患者に対する情報提供を前提として、患者の自由な選択と同意がなされたものに限られるものとし、したがって、治験の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる等の場合にあっては、保険外併用療養費の支給対象としないものとすること。
(5) 自ら治験を実施する者による治験において、患者から当該治験の対象とされる機械器具等の費用等を特別の料金として徴収する場合、当該特別の料金の徴収を行った保険医療機関は、患者に対し、保険外併用療養費の一部負担に係る徴収額と特別の料金に相当する自費負担に係る徴収額を明確に区分した当該特別の料金の徴収に係る領収書を交付するものとすること。
(6) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とすること。
(7) 保険外併用療養費の支給対象となる治験を実施した保険医療機関については、毎年の定例報告の際に、治験の実施状況について、別紙様式8により地方厚生(支)局長に報告するものとすること。また、特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式8の2により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとすること。
10 薬事法に基づく承認を受けた医薬品の投与に関する事項(1) 薬事法上の承認(同法第14条第1項又は第19条の2第1項の規定による承認)を受けた者が製造販売した当該承認に係る医薬品のうち、使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成20年厚生労働省告示第60号。以下「薬価基準」という。)に収載されていないものに対する患者のニーズに対応する観点から、薬事法上の承認を受けた医薬品の投与について、当該投与に係る薬剤料に相当する療養部分についてその費用を患者から徴収することができることとしたものである。
(2) 保険外併用療養費の支給額には、薬剤料そのものの費用は含まれないものであること。
(3) 病院又は診療所にあっては、以下の要件を満たすものであること。
ア 当該病院又は診療所に常勤の薬剤師が、2名以上配置されていること。
イ 医薬品情報の収集及び伝達を行うための専用施設(以下「医薬品情報管理室」という。)を有し、常勤の薬剤師が1人以上配置されていること。
ウ 医薬品情報管理室の薬剤師が、有効性、安全性等薬学的情報の管理及び医師等に対する情報提供を行っていること。
(4) 薬局にあっては、算定告示別表第三調剤報酬点数表(以下「調剤報酬点数表」という。)第1節に規定する調剤基本料の注2の規定に基づく届出を行った薬局であって、(3)の要件を満たす病院又は診療所の医師又は歯科医師から交付された処方せんに基づき医薬品を投与するものであること。
(5) 薬事法上の承認を受けた日から起算して90日以内に行われた投薬について特別の料金を徴収することができるものとする。なお、投薬時点が90日以内であれば、服用時点が91日目以後になる場合であっても特別の料金を徴収することができるものとする。
(6) 特別の料金の徴収は、患者への十分な情報提供が前提とされるものであり、患者に対し当該医薬品の名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書により提供しなければならないものとする。
(7) 処方せんを交付する場合であっても、(6)の情報の提供は医療機関において行うものとする。また、処方せんを交付する場合は、患者の希望する薬局において当該医薬品の交付が可能であるか事前に確認すること。この場合、処方せんを交付する場合も特別の料金を徴収することは認められるが、薬局においても特別の料金を徴収されることがある旨の説明を行うものとする。
(8) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とする。
(9) 特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式9により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとする。
11 入院期間が180日を超える入院に関する事項(1) 入院医療の必要性が低いが患者側の事情により長期にわたり入院している者への対応を図る観点から、通算対象入院料(一般病棟入院基本料(特別入院基本料、7対1特別入院基本料、10対1特別入院基本料及び特定入院基本料を含み、医科点数表の注13に規定する療養病棟入院基本料1の例により算定する場合(歯科点数表第1章第2部第1節通則1の規定により医科点数表の例により算定する場合を含む。)を除く。)、特定機能病院入院基本料(一般病棟の場合に限る。)及び専門病院入院基本料をいう。以下同じ。)を算定する保険医療機関への180日を超える入院((6)に定める患者の入院を除く。)については、患者の自己の選択に係るものとして、その費用を患者から徴収することができることとしたものである。
(2) 入院期間は、以下の方法により計算されるものであり、医科点数表及び歯科点数表の例により計算されるものではないことに留意すること。
① 保険医療機関を退院した後、同一の疾病又は負傷により、当該保険医療機関又は他の保険医療機関に入院した場合(当該疾病又は負傷が一旦治癒し、又は治癒に近い状態(寛解状態を含む。)になった後に入院した場合を除く。)にあっては、これらの保険医療機関において通算対象入院料を算定していた期間を通算する。
② ①の場合以外の場合にあっては、現に入院している保険医療機関において通算対象入院料を算定していた期間を通算する。
(3) 退院の日から起算して3月以上(悪性腫瘍又は「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾病に罹患している患者については1月以上)の期間、同一傷病について、いずれの保険医療機関に入院することなく経過した後に、当該保険医療機関又は他の保険医療機関に入院した場合は、(2)の②に該当するものであり、入院期間の計算方法は、現に入院している保険医療機関において通算対象入院料を算定していた期間を通算するものであること。
また、同一の保険医療機関内の介護療養病床等に3月以上(悪性腫瘍又は「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾病に罹患している患者については1月以上)の期間入院した場合についても(2)の②に準じて取り扱うものとし、当該介護療養病床等から通算対象入院料を算定する病棟に転棟した場合における入院期間は、当該転棟の日から起算して計算するものであること。
(4) 入院期間の確認については、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成24年3月5日保医発0305第1号)別添1第1章第2部通則3に従うものであること。
(5) 保険外併用療養費の支給額は、所定点数から通算対象入院料の基本点数の100分の15に相当する点数を控除した点数をもとに計算されるものであるが、通算対象入院料の基本点数とは、それぞれの区分の注1(特別入院基本料、7対1特別入院基本料及び10対1特別入院基本料の場合は注2、特定入院基本料の場合は注8)に掲げられている点数であるものである。
なお、控除する点数に1点未満の端数があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算するものとする。また、外泊期間中は、保険外併用療養費は支給しないものとする。なお、外泊期間中であっても、特別の料金を徴収することができることとし、その標準については、(9)に規定するところによるものとする。
(6) 当該制度は、入院医療の必要性が低いが患者側の事情により入院しているものへの対応を図るためのものであることから、以下の表の左欄に掲げる状態等にあって、中欄の診療報酬点数に係る療養のいずれかについて、右欄に定める期間等において実施している患者の入院については、選定療養には該当せず、特別の料金を徴収することは認められないものである。
なお、左欄に掲げる状態等にある患者が、退院等により右欄に定める実施期間等を満たさない場合においては、当該月の前月において選定療養に該当していない場合に限り、当該月においても同様に取扱う。他の病院から転院してきた患者についても同様の取扱いとする。
注1 3の左欄に掲げる状態等にある患者は具体的には以下のような状態等にあるものをいうものであること。 a 重度の肢体不自由者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。) なお、脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者については、当該傷病が主たる傷病である患者のことをいう。 b 重度の意識障害者 重度の意識障害者とは、次に掲げる者をいう。なお、病因が脳卒中の後遺症であっても、次の状態である場合には、重度の意識障害者となる。 ア 意識障害レベルがJCS(Japan Coma Scale)でⅡ-3(又は30)以上又はGCS(Glasgow Come Scale)で8点以下の状態が2週以上持続している患者 イ 無動症の患者(閉じ込め症候群、無動性無言、失外套症候群等) c 以下の疾患に罹患している患者 筋ジストロフィー、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上でかつ生活機能障害度Ⅱ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎及びもやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症) d 重度の肢体不自由者については、「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」の活用について(平成3年11月18日老健第102-2号)においてランクB(以下「ランクB」という。)以上に該当するものが対象となるものであり、ランクB以上に該当する旨を診療報酬明細書に記載すること。 2 4の「重篤な副作用を有するもの」とは、肝障害、間質性肺炎、骨髄抑制、心筋障害等の生命予後に影響を与えうる臓器障害を有する腫瘍用薬であること。 3 6に係る胸腔穿刺又は腹腔穿刺を算定した場合は、当該胸腔穿刺又は腹腔穿刺に関し洗浄を行った旨を診療報酬明細書に記載すること。 4 8の「人工腎臓を実施している状態」にある患者については、ランクB以上に該当するものが対象となるものであり、ランクB以上に該当する旨を診療報酬明細書に記載すること。 5 10の中欄に規定する「麻薬」については、使用薬剤を診療報酬明細書に記載すること。 6 10の中欄に規定する「神経ブロック」とは、医科点数表第2章第11部第2節区分番号「L100」神経ブロック(局所麻酔剤又はボツリヌス毒素使用)、区分番号「L101」神経ブロック(神経破壊剤又は高周波凝固法使用)又は区分番号「L105」硬膜外ブロックにおける麻酔剤の持続的注入であること。 7 11の中欄に規定する「救命のための気管内挿管」を実施している患者については、気管内挿管を実施している旨を診療報酬明細書に記載すること。 8 11の中欄に規定する「気管切開術」を実施している患者については、ランクB以上に該当するものが対象となるものであり、ランクB以上に該当する旨及び気管切開術を実施している旨を診療報酬明細書に記載すること。 9 11の中欄に規定する「酸素吸入」を実施している患者については、ランクB以上に該当し、かつ、酸素吸入を実施しない場合には経皮的動脈血酸素飽和度が90%以下となるものが対象となるものであり、ランクB以上に該当する旨及び酸素吸入を実施しない場合の経皮的動脈血酸素飽和度の値及び酸素吸入を実施している旨を診療報酬明細書に記載すること。 10 12の左欄に規定する「頻回に喀痰吸引・排出を実施している状態」については、ランクB以上に該当するものが対象となるものであり、ランクB以上に該当する旨及び喀痰吸引又は干渉低周波去痰器による喀痰排出の内容(喀痰吸引等の頻度、喀痰吸引に伴う排痰処置等)について、診療報酬明細書に記載すること。また、頻回の喀痰吸引を長期間必要とする理由(気管切開等の呼吸管理を行っておらず、かつ、長期間喀痰吸引を実施している場合は、特にその理由を診療録に記載する。)及びその内容(喀痰吸引等の頻度、喀痰吸引に伴う排痰処置等)を診療録に記載すること。 11 13の中欄に規定する抗生剤(病原生物に対する医薬品をいう。)は、主として全身性の感染症に対する治療のために投与される注射薬に限るものとし、使用薬剤並びに当該治療に係る細菌培養同定検査等及び薬剤感受性検査の結果を診療報酬明細書に記載又は添付すること。 12 14の「集中的な循環管理が実施されている先天性心疾患等の患者」については、常時モニタリング下に、塩酸ドパミン、塩酸ドブタミン、ミルリノン、アムリノン、塩酸オルプリノン、不整脈用剤又はニトログリセリン(いずれも注射薬に限る。)を投与されている先天性心疾患等の患者が対象となるものであり、循環管理の内容(モニタリングの内容、使用薬剤等)を診療報酬明細書に記載すること。 (7) 急性増悪のため、通算対象入院料を算定する病棟又は介護療養病床等から、一般病棟に転棟させた場合(一般病棟に入院中の患者が急性増悪した場合を含む。)は当該転棟の日(一般病棟に入院中の患者については急性増悪の日)から30日間は、特別の料金を徴収することは認められない取扱いとするものであること。ただし、30日間を経過した後は、(6)に規定する基準に従い、当該患者の入院が選定療養となるか否かを判断するものであること。なお、この場合においては、一般病棟に転棟させた理由を診療報酬明細書に詳細に記載すること。 (8) 特別の料金を徴収しようとする場合は、患者への十分な情報提供が前提とされるものであり、特別の料金の額等に関する情報を文書により提供しなければならないものとする。 (9) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とし、通算対象入院料の基本点数の100分の15に相当する点数をもとに計算される額を標準とする。 (10) 特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式10により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとする。また、患者から特別の料金を徴収した保険医療機関については、毎年の定例報告の際に、その実施状況について、別紙様式10により地方厚生(支)局長に報告するものとすること。 12 薬価基準に収載されている医薬品の薬事法に基づく承認に係る用法、用量、効能又は効果と異なる用法、用量、効能又は効果に係る投与に関する事項(1) 薬価基準に収載されている医薬品の薬事法第14条第1項又は第19条の2第1項の規定による承認に係る用法、用量、効能又は効果と異なる用法、用量、効能又は効果に係る投与に対する患者のニーズに対応する観点から、当該投与に係る薬剤料に相当する療養部分についてその費用を患者から徴収することができることとしたものである。 (2) 保険外併用療養費の支給額には、薬剤料そのものの費用は含まれないものであること。 (3) 薬事法第14条第9項(同法第19条の2第5項において準用する場合を含む。)の規定による承認事項(用法、用量、効能又は効果に限る。)の一部変更の承認(以下「医薬品一部変更承認」という。)の申請(申請書に添付しなければならない資料について、当該申請に係る事項が医学薬学上公知であると認められる場合その他資料の添付を必要としない合理的理由がある場合において、申請者が依頼して実施された臨床試験の試験成績に関する資料の添付を省略して行われるものに限る。)を行うことが適当と認められるものとして厚生労働省設置法(平成11年法律第97号)第11条に規定する薬事・食品衛生審議会が事前の評価を開始した医薬品(当該評価期間が終了したものを除く。)の投与にあっては、当該評価が開始された日から6月、医薬品一部変更承認の申請(申請書に添付しなければならない資料について、当該申請に係る事項が医学薬学上公知であると認められる場合その他資料の添付を必要としない合理的理由がある場合において、申請者が依頼して実施された臨床試験の試験成績に関する資料の添付を省略して行われるものに限る。)が受理された医薬品(薬事・食品衛生審議会の事前評価が終了したものを除く。)の投与にあっては、当該申請が受理された日から2年(当該期間内に当該申請に対する処分があったとき又は当該申請の取下げがあったときは、当該処分又は取下げがあった日までの期間)の範囲内で行われたものについて特別の料金を徴収することができるものとする。なお、投薬時点が上記期間内であれば、服用時点が上記期間を超える場合であっても特別の料金を徴収することができるものとする。 (4) 特別の料金の徴収は、患者への十分な情報提供が前提とされるものであり、患者に対し当該医薬品の名称、薬事法に基づく承認に係る用法、用量、効能又は効果と異なる用法、用量、効能又は効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書により提供しなければならないものとする。 (5) 処方せんを交付する場合であっても、(4)の情報の提供は医療機関において行うものとする。 (6) 特別の料金については、当該医薬品について薬価基準の別表に定める価格を標準とする。 (7) 特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式11により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとする。 13 薬事法に基づく承認等を受けた医療機器の使用等に関する事項(1) 薬事法上の承認(同法第14条第1項又は第19条の2第1項の規定による承認)又は認証(同法第23条の2第1項の規定による認証)を受けた者が製造販売した当該承認又は認証に係る医療機器のうち、保険適用されていないものに対する患者のニーズに対応する観点から、薬事法上の承認又は認証を受けた医療機器の使用又は支給について、当該医療機器に係る費用等に相当する療養部分についてその費用を患者から徴収することができることとしたものである。 (2) 保険外併用療養費の支給額には、診療報酬上評価されていない手術及び処置並びに歯冠修復及び欠損補綴並びに当該医療機器の費用については含まれないものであること。 (3) 病院又は診療所にあっては、以下の要件を満たすことが望ましい。 ア 医療機器の保守管理等を行うための専用施設(以下「医療機器管理室」という。)を有し、臨床工学技士等の医療機器の専門家(以下「臨床工学技士等」という。)が配置されていること。 イ 医療機器管理室の臨床工学技士等が、医療機関内における医療機器の保守管理等を一括して実施し、医療機器の操作方法、安全性情報等の医師等に対する情報提供を行っていること。 (4) 薬局にあっては、算定告示別表第三調剤報酬点数表第1節に規定する調剤基本料の注2の規定に基づく届出を行った薬局であって、(3)のア及びイの要件を満たす病院又は診療所の医師又は歯科医師から交付された処方せんに基づき医療機器を支給するものであること。 (5) 「医療機器の保険適用等に関する取扱いについて」(平成18年2月15日付医政発第0215008号・保発第0215005号医政局長及び保険局長通知)に規定する保険適用希望書が受理された日から当該保険適用希望に係る保険適用上の取扱いが決定されるまでの期間(240日を上限とする。)の範囲内で行われた医療機器の使用又は支給について特別の料金を徴収することができるものとする。なお、支給時点が240日以内であれば、使用時点がそれ以後になる場合であっても特別の料金を徴収することができるものとする。 (6) 特別の料金の徴収は、患者への十分な情報提供が前提とされるものであり、患者に対し当該医療機器の名称、使用目的、効能又は効果、使用方法、不具合等に関する主な情報を文書により提供しなければならないものとする。 (7) 処方せんを交付する場合であっても、(6)の情報の提供は医療機関において行うものとする。また、処方せんを交付する場合は、患者の希望する薬局において当該医療機器の支給が可能であるか事前に確認すること。この場合、処方せんを交付する場合も特別の料金を徴収することは認められるが、薬局においても特別の料金を徴収されることがある旨の説明を行うものとする。 (8) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とする。 (9) 特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式12により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとする。 14 保険適用されている医療機器の薬事法に基づく承認に係る使用目的、効能若しくは効果又は操作方法若しくは使用方法と異なる使用目的、効能若しくは効果又は操作方法若しくは使用方法に係る使用に関する事項(1) 保険適用されている医療機器の薬事法第14条第1項若しくは第19条の2第1項の規定による承認又は同法第23条の2第1項の規定による認証に係る効能若しくは効果又は操作方法若しくは使用方法(以下「使用目的等」という。)と異なる使用目的等に係る使用(支給を含む。以下14において同じ。)に対する患者のニーズに対応する観点から、当該医療機器に係る費用等に相当する療養部分についてその費用を患者から徴収することができることとしたものである。 (2) 保険外併用療養費の支給額には、診療報酬上評価されていない手術及び処置並びに歯冠修復及び欠損補綴並びに当該医療機器の費用については含まれないものであること。 (3) 病院又は診療所にあっては、以下の要件を満たすことが望ましい。 ア 医療機器管理室を有し、臨床工学技士等が配置されていること。 イ 医療機器管理室の臨床工学技士等が、医療機関内における医療機器の保守管理等を一括して実施し、医師等に対する医療機器の操作方法、安全性情報等の情報提供を行っていること。 (4) 薬局にあっては、算定告示別表第三調剤報酬点数表第1節に規定する調剤基本料の注2の規定に基づく届出を行った薬局であって、(3)のア及びイの要件を満たす病院又は診療所の医師又は歯科医師から交付された処方せんに基づき医療機器を支給するものであること。 (5) 薬事法第14条第9項(同法第19条の2第5項において準用する場合を含む。)の規定による承認事項(使用目的等に限る。)の一部変更の承認(以下「医療機器一部変更承認」という。)の申請(申請書に添付しなければならない資料について、当該申請に係る事項が医学薬学上公知であると認められる場合その他資料の添付を必要としない合理的理由がある場合において、申請者が依頼して実施された臨床試験の試験成績に関する資料の添付を省略して行われるものに限る。)を行うことが適当と認められるものとして厚生労働省設置法第11条に規定する薬事・食品衛生審議会が事前の評価を開始した医療機器の使用にあっては、当該評価が開始された日から6月(当該期間内に医療機器一部変更承認の申請が受理されたときは、当該申請が受理された日までの期間)、医療機器一部変更承認の申請(申請書に添付しなければならない資料について、当該申請に係る事項が医学薬学上公知であると認められる場合その他資料の添付を必要としない合理的理由がある場合において、申請者が依頼して実施された臨床試験の試験成績に関する資料の添付を省略して行われるものに限る。)が受理された医療機器の使用にあっては、当該申請が受理された日から2年(当該期間内に当該申請に対する処分があったとき又は当該申請の取下げがあったときは、当該処分又は取下げがあった日までの期間)の範囲内で行われたものについて特別の料金を徴収することができるものとする。なお、支給時点が上記期間内であれば、患者による使用時点が上記期間を超える場合であっても特別の料金を徴収することができるものとする。 (6) 特別の料金の徴収は、患者への十分な情報提供が前提とされるものであり、患者に対し当該医療機器の名称、薬事法に基づく承認に係る使用目的等、不具合等に関する主な情報を文書により提供しなければならないものとする。 (7) 処方せんを交付する場合であっても、(6)の情報の提供は医療機関において行うものとする。また、処方せんを交付する場合は、患者の希望する薬局において当該医療機器の支給が可能であるか事前に確認すること。この場合、処方せんを交付する場合も特別の料金を徴収することは認められるが、薬局においても特別の料金を徴収されることがある旨の説明を行うものとする。 (8) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とする。 (9) 特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式12の2により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとする。 15 別に厚生労働大臣が定める先進医療(先進医療ごとに別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合する保険医療機関において行われるものに限る。)に関する事項(1) 保険外併用療養費の支給対象となる先進医療は、次のア又はイに掲げるものであること。 ア 先進医療ごとに別に厚生労働大臣が定める施設基準の設定を求める旨の厚生労働大臣への届出に基づき、施設基準が設定されたもの イ 「高度医療に係る申請等の取扱い及び実施上の留意事項について」(平成21年3月31日医政発第0331021号)に基づき、高度医療として認められた上で、先進医療として定められたもの (2) 保険外併用療養費の支給対象となる先進医療の実施に当たっては、先進医療ごとに、保険医療機関が別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合していることを地方厚生(支)局長に届け出るものとすること。 (3) 保険外併用療養費の支給額には、診療報酬上評価されていない手術及び処置等並びに歯冠修復及び欠損補綴等並びに薬価基準に収載されていない医薬品及び保険適用されていない医療機器の費用については含まれないものであること。 (4) 保険医療機関は、保険外併用療養費の支給対象となる先進医療を行うに当たり、あらかじめ患者に対し、その内容及び費用に関して説明を行い、患者の自由な選択に基づき、文書によりその同意を得るものとする。したがって、先進医療の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる等の場合にあっては、保険外併用療養費の支給対象としないものとすること。 (5) 患者から先進医療に係る費用を特別の料金として徴収する場合、当該特別の料金の徴収を行った保険医療機関は、患者に対し、保険外併用療養費の一部負担に係る徴収額と特別の料金に相当する自費負担に係る徴収額を明確に区分した当該特別の料金の徴収に係る領収書を交付するものとすること。 (6) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とすること。 (7) 保険外併用療養費の支給対象となる先進医療を実施する保険医療機関は、特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合の報告及び定期的な報告を、「厚生労働大臣の定める先進医療及び施設基準の制定等に伴う実施上の留意事項及び先進医療に係る届出等の取扱いについて」(平成20年3月31日保医発第0331003号)により行うものとすること。 16 医科点数表及び歯科点数表に規定する回数を超えて受けた診療であって別に厚生労働大臣が定めるものに関する事項(1) 本制度は、患者の要望に従い、患者の自己の選択に係るものとして、医科点数表及び歯科点数表(以下「医科点数表等」という。)に規定する回数を超えて行う診療であって、①検査(腫瘍マーカーのうち、「α-フェトプロテイン(AFP)」及び「癌胎児性抗原(CEA)」、②リハビリテーション(「心大血管疾患リハビリテーション料」、「脳血管疾患等リハビリテーション料」、「運動器リハビリテーション料」及び「呼吸器リハビリテーション料」)、③精神科専門療法(「精神科ショート・ケア」、「精神科デイ・ケア」、「精神科ナイト・ケア」及び「精神科デイ・ナイト・ケア」)について、その費用を患者から徴収することができることとしたものである。 ただし、①については、患者の不安を軽減する必要がある場合、②については、患者の治療に対する意欲を高める必要がある場合、③については、患者家族の負担を軽減する必要がある場合に限り実施されるものであること。 なお、当該診療の実施に当たっては、その旨を診療録に記載すること。 (2) 本制度に基づき医科点数表等に規定する回数を超えて行う診療を実施する場合において、「特掲診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第63号)等により施設基準が定められている場合には、これに適合する旨を地方厚生(支)局長に届け出ていること。 (3) 医科点数表等に規定する回数を超えて行う診療に係る特別の料金の徴収を行おうとする保険医療機関は、本制度の趣旨を患者に適切に情報提供する観点から、当該事項について院内の見やすい場所にわかりやすく掲示しておかなければならない。 (4) 保険医療機関は、医科点数表等に規定する回数を超えて行う診療を実施するに当たり、あらかじめ患者に対し、その内容及び費用に関して明確かつ懇切に説明を行い、患者の自由な選択に基づき、文書によりその同意を得るものとし、この同意の確認は、特別の料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うこと。 (5) 患者から、医科点数表等に規定する回数を超えて行う診療に係る費用を特別の料金として徴収する場合、当該特別の料金の徴収を行った保険医療機関は、患者に対し、保険外併用療養費の一部負担に係る徴収額と特別の料金に相当する自費負担に係る徴収額を明確に区分した当該特別の料金の徴収に係る領収書を交付するものとすること。 (6) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とし、医科点数表等に規定する基本点数をもとに計算される額を標準とすること。 (7) 特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、別紙様式13により地方厚生(支)局長にその都度報告すること。また、患者から特別の料金を徴収した保険医療機関については、毎年の定例報告の際に、その実施状況について、地方厚生(支)局長に報告すること。 |