[留意]B001-2-9 地域包括診療料

B001-2-9 地域包括診療料(1) 地域包括診療料は、外来の機能分化の観点から、主治医機能を持った中小病院及び診療所の医師が、複数の慢性疾患を有する患者に対し、患者の同意を得た上で、継続的かつ全人的な医療を行うことについて評価したものであり、初診時や訪問診療時(往診を含む。)は算定できない。なお、地域包括診療料と区分番号「A001」再診料の「注12」地域包括診療加算はどちらか一方に限り届出することができる。(2) 地域包括診療料の対象患者は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、慢性心不全、慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていないものに限る。)及び認知症の6疾病のうち、2つ以上(疑いを除く。)を有する者である。なお、当該医療機関で診療を行う対象疾病(上記6疾病のうち2つ)と重複しない疾病を対象とする場合に限り、他医療機関でも当該診療料、区分番号「A001」再診料の「注12」地域包括診療加算、同「注13」認知症地域包括診療加算又は区分番号「B001-2-10」認知症地域包括診療料を算定可能である。(3) 当該患者を診療する担当医を決めること。担当医は、慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師とし、担当医により指導及び診療を行った場合に当該診療料を算定する。なお、服薬、運動、休養、栄養、喫煙、家庭での体重や血圧の計測、飲酒、その他療養を行うに当たっての問題点等に係る生活面の指導については、必要に応じて、当該医師の指示を受けた看護師や管理栄養士、薬剤師が行っても差し支えない。(4) 当該患者に対し、以下の指導、服薬管理等を行うこと。ア 患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に療養上必要な指導及び診療を行うこと。イ 他の保険医療機関と連携の上、患者が受診している医療機関を全て把握するとともに、当該患者に処方されている医薬品を全て管理し、診療録等に記載すること。必要に応じ、担当医の指示を受けた看護師、准看護師等が情報の把握を行うことも可能であること。ウ 当該患者について、原則として院内処方を行うこと。ただし、エ及びオの場合に限り院外処方を可能とする。エ 病院において、患者の同意が得られた場合は、以下の全てを満たす薬局に対して院外処方を行うことを可能とする。(イ) 24時間開局している薬局であること。なお、24時間開局している薬局のリストを患者に説明した上で患者が選定した薬局であること。(ロ) 当該患者がかかっている医療機関を全て把握した上で、薬剤服用歴を一元的かつ継続的に管理し、投薬期間中の服薬状況等を確認及び適切な指導を行い、当該患者の服薬に関する情報を医療機関に提供している薬局であること。(ハ) 病院において院外処方を行う場合は、以下の通りとする。① 当該患者が受診している医療機関のリスト及び当該患者が当該診療料を算定している旨を、処方箋に添付して患者に渡すことにより、当該薬局に対して情報提供を行うこと。② 患者に対して、当該医療機関を受診時に、薬局若しくは当該医療機関が発行するお薬手帳を持参させること。また、当該患者の院外処方を担当する保険薬局から文書で情報提供を受けることでもよい。なお、保険薬局から文書で情報提供を受けた場合も、当該患者に対し、事後的にお薬手帳の提示に協力を求めることが望ましい。③ また、診療録にお薬手帳のコピー若しくは保険薬局からの文書のコピーを添付すること、又は、当該点数の算定時の投薬内容について診療録に記載すること。オ 診療所において、院外処方を行う場合は、以下のとおりとする。(イ) 調剤について24時間対応できる体制を整えている薬局(以下「連携薬局」という。)と連携していること。(ロ) 原則として、院外処方を行う場合は連携薬局にて処方を行うこととするが、患者の同意がある場合に限り、その他の薬局での処方も可能とする。その場合、当該患者に対して、時間外においても対応できる薬局のリストを文書により提供し、説明すること。(ハ) 当該患者が受診している医療機関のリスト及び当該患者が当該診療料を算定している旨を、処方箋に添付して患者に渡すことにより、当該薬局に対して情報提供を行うこと。(ニ) 患者に対して、当該医療機関を受診時に、薬局若しくは当該医療機関が発行するお薬手帳を持参させること。また、当該患者の院外処方を担当する保険薬局から文書で情報提供を受けることでもよい。なお、保険薬局から文書で情報提供を受けた場合も、当該患者に対し、事後的にお薬手帳の提示に協力を求めることが望ましい。(ホ) また、診療録にお薬手帳のコピー若しくは保険薬局からの文書のコピーを添付すること、又は、当該点数の算定時の投薬内容について診療録等に記載すること。カ 標榜診療時間外の電話等による問い合わせに対応可能な体制を有し、連絡先について情報提供するとともに、患者又は患者の家族等から連絡を受けた場合には、受診の指示等、速やかに必要な対応を行うこと。キ 当該患者について、当該医療機関で検査(院外に委託した場合を含む。)を行うこと。ク 健康診断や検診の受診勧奨を行い、その結果等を診療録に添付又は記載するとともに、患者に提供し、評価結果をもとに患者の健康状態を管理すること。ケ 必要に応じ、要介護認定に係る主治医意見書を作成すること。コ 必要に応じ、患者の予防接種の実施状況を把握すること等により、当該患者からの予防接種に係る相談に対応すること。サ 患者の同意について、当該診療料の初回算定時に、別紙様式48を参考に、当該患者の署名付の同意書を作成し、診療録等に添付すること。ただし、直近1年間に4回以上の受診歴を有する患者については、別紙様式48を参考に診療の要点を説明していれば、同意の手続きは省略して差し支えない。なお、当該医療機関自ら作成した文書を用いることでよい。シ 当該診療料を算定する場合は、投薬の部に掲げる「7種類以上の内服薬の投薬を行う場合」の規定は適用しないものであること。ス 認知症の患者に対し当該診療料を算定する場合であって、当該患者の病状から、患者への説明及び患者の同意について、患者の家族等への説明及び当該患者の家族等による同意による方が適切と考えられる場合には、当該部分について「患者」を「患者の家族等」と読み替えるものとする。(5) 当該医療機関において、院内掲示により以下の対応が可能なことを周知し、患者の求めがあった場合に適切に対応すること。ア 健康相談を行っていること。イ 介護保険に係る相談を行っていること。ウ 予防接種に係る相談を行っていること。(6) 地域包括診療料を算定する医療機関においては、往診又は訪問診療を提供可能であること。往診又は訪問診療の対象の患者には、24時間対応可能な夜間の連絡先を提供し、患者又は患者の家族等から連絡を受けた場合には、往診、外来受診の指示等、速やかに必要な対応を行うこと。「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1の(1)に規定する在宅療養支援診療所以外の在宅療養支援診療所においては、連絡を受けて行う往診又は外来診療の体制について、連携する他の保険医療機関とともに行うことも可能であること。(7) 抗菌薬の適正な使用を推進するため、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省健康局結核感染症課)を参考に、抗菌薬の適正な使用の普及啓発に資する取組を行っていること。(8) 「注3」の薬剤適正使用連携加算については、区分番号「A001」再診料の「注14」に規定する薬剤適正使用連携加算の例によること。

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