[留意]K920 輸血

K920 輸血
(1) 自家採血輸血、保存血液輸血、自己血輸血及び希釈式自己血輸血の算定に当たっては、200mLを単位とし、200mL又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。ただし、6歳未満の患者に対して自己血輸血を行った場合は、体重1㎏につき4mLを単位とし、当該単位又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。
(2) 自家採血輸血及び保存血液輸血における1回目とは、一連の輸血における最初の200mLの輸血をいい、2回目とはそれ以外の輸血をいう。
(3) 輸血と補液を同時に行った場合は、輸血の量と、補液の量は別々のものとして算定する。
(4) 自家採血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、実際に輸血を行った1日当たりの量である。
(5) 自家製造した血液成分製剤を用いた注射の手技料は、原材料として用いた血液の量に従い、「1」により算定する。ただし、この場合の血液の量は3,000mLを限度とすること。
この場合、患者に用いるリンゲル液、糖液等については、区分番号「G100」薬剤により算定するが、自家製造に要する費用及び製造の過程で用いる薬剤については算定できない。
(6) 同種造血幹細胞移植後の慢性骨髄性白血病の再発、骨髄異形成症候群の再発及びEBウイルス感染によるB細胞性リンパ球増殖性疾患に対し、造血幹細胞提供者のリンパ球を採取・輸注した場合は、「1」により算定する。またこの際、自家製造したリンパ球を使用した場合には、(5)の規定に基づき、原材料として用いた血液の量に従い算定する。
(7) 保存血液輸血の注入量は、1日における保存血及び血液成分製剤(自家製造したものを除く。)の実際に注入した総量又は原材料として用いた血液の総量のうちいずれか少ない量により算定する。例えば、200mLの血液から製造された30mLの血液成分製剤については30mLとして算定し、200mLの血液から製造された230mLの保存血及び血液成分製剤は、200mLとして算定する。
(8) 血小板濃厚液の注入は、「2」により算定する。なお、血漿成分製剤(新鮮液状血漿、新鮮凍結血漿等)は注射の部において取り扱われる。
(9) 自己血貯血は、当該保険医療機関において手術又はヒト骨髄由来間葉系幹細胞の投与を予定している患者から採血を行い、当該血液を保存した場合に算定する。また、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の投与を予定している患者に関しては、「3」自己血貯血の「イ」6歳以上の患者の場合(200mLごとに)の「(1)」の液状保存の場合により算定する。
(10) 自己血輸血は、当該保険医療機関において手術を行う際に予め貯血しておいた自己血(自己血貯血)を輸血した場合において、手術時及び手術後3日以内に輸血を行ったときに算定できる。
(11) 自己血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、手術開始後に実際に輸血を行った1日当たりの量である。なお、使用しなかった自己血については、算定できない。
(12) 希釈式自己血輸血は、当該保険医療機関において手術を行う際、麻酔導入後から執刀までの間に自己血の採血を行った後に、採血量に見合った量の代用血漿の輸液を行い、手術時予め採血しておいた自己血を輸血した場合に算定できる。
(13) 希釈式自己血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、手術開始後に実際に輸血を行った1日当たりの量である。なお、使用しなかった自己血については、算定できない。
(14) 患者への説明
ア 「注1」に規定する説明とは、別紙様式26を参考として、文書により輸血の必要性、副作用、輸血方法及びその他の留意点等について、輸血を行う際に患者本人に対して行うことを原則とするが、医師の説明に対して理解ができないと認められる患者(例えば小児、意識障害者等)については、その家族等に対して説明を行うことが必要である。
イ アの説明は、当該患者に対する一連の輸血につき1回行うものとする。なお、この場合、「一連」とは、概ね1週間とする。ただし、再生不良性貧血、白血病等の患者の治療において、輸血の反復の必要性が明らかである場合はこの限りでない。
ウ 説明に用いた文書については、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)から署名又は押印を得た上で、当該患者に交付するとともに、その文書の写しを診療録に添付することとする。
エ 緊急その他事前に説明を行うことが著しく困難な場合は、事後の説明でも差し支えないものとする。
(15) 輸血に当たっては、「血液製剤の使用指針及び輸血療法の実施に関する指針について」(平成11年6月10日付け医薬発第715号厚生省医薬安全局長通知)及び「血小板製剤の使用適正化の推進について」(平成6年7月11日付け薬発第638号厚生省薬務局長通知)による、両通知別添(「血液製剤の使用指針」、「輸血療法の実施に関する指針」及び「血小板製剤の適正使用について」)を遵守するよう努めるものとする。
(16) 「注3」の加算は、第1節に掲げる手術と同日に骨髄内輸血又は血管露出術が行われた場合には、算定できない。
(17) 「注6」の頻回に輸血を行う場合とは、週1回以上、当該月で3週以上にわたり行われるものである。
(18) 「注7」の加算を算定できるHLA型適合血小板輸血は、白血病又は再生不良性貧血の場合であって、抗HLA抗体のために血小板輸血に対して不応状態となり、かつ、強い出血傾向を呈しているものに限る。なお、この場合において、対象となる白血病及び再生不良性貧血の患者の血小板数は概ね、それぞれ2万/mm3以下及び1万/mm3以下を標準とする。
(19) 「注8」の血液交叉試験又は間接クームス検査の加算は、自家採血を使用する場合にあっては、供血者ごとに、保存血を使用する場合にあっては、血液バッグ(袋)1バッグごとにそれぞれ算定する。
(20) 「注8」のコンピュータクロスマッチ加算は、(15)に規定する「輸血療法の実施に関する指針」を遵守してコンピュータクロスマッチを実施した場合に算定する。
(21) 「注10」に規定する「輸血に伴って行った供血者の諸検査」には、HCV抗体定性・定量、HIV-1抗体、HIV-1,2抗体定性、HIV-1,2抗体半定量、HIV-1,2抗体定量、HIV-1,2抗原・抗体同時測定定性、HIV-1,2抗原・抗体同時測定定量、HTLV-Ⅰ抗体、不規則抗体等が含まれ、これらの検査に係る費用は別に算定できない。
(22) 自己血を採血する際の採血バッグ並びに輸血する際の輸血用回路及び輸血用針の費用並びに自己血の保存に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。なお、自己血の採血に伴うエリスロポエチンに係る第2章第6部第1節第1款注射実施料については、自己血貯血の所定点数とは別に算定する。
(23) 「注12」に規定する血小板洗浄術加算は、血液・造血器疾患において、副作用の発生防止を目的として、血小板濃厚液を置換液等で洗浄操作した上で血漿成分を除去し輸血を行った場合に算定する。
血小板洗浄術の実施に当たっては関係学会の定めるガイドラインを遵守すること。