[留意]J063 歯周外科手術

J063 歯周外科手術
(1) 歯周外科手術とは、区分番号D002に掲げる歯周病検査の「2 歯周精密検査」に規定する歯周精密検査の結果に基づき行われる歯周ポケット掻爬術、新付着手術、歯肉切除手術、歯肉剥離掻爬手術、歯周組織再生誘導手術及び歯肉歯槽粘膜形成手術をいう。ただし、歯周病の治療を目的としない「6 歯肉歯槽粘膜形成手術」を実施した場合はこの限りではない。なお、歯周外科手術の実施に当たっては、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)を参考とする。
(2) 歯周外科手術と同時に行われる区分番号I011に掲げる歯周基本治療は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(3) 歯周外科手術における縫合又はパックはそれぞれの所定点数に含まれる。
(4) 「注4」の「簡単な暫間固定」とは、暫間固定を行う部位において、歯周外科手術を行う歯数が4歯未満の場合であって、固定源となる歯を歯数に含めない4歯未満の暫間固定をいう。
(5) 暫間固定を行う部位において、歯周外科手術を行う歯数が4歯以上の場合であって、固定源となる歯を歯数に含めない4歯以上の暫間固定は、歯周外科手術とは別に区分番号I014に掲げる暫間固定の「2 困難なもの」の所定点数により算定する。
(6) 暫間固定に当たって印象採得を行った場合は1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「3 口腔内装置」を、咬合採得を行った場合は、1装置につき、装置の範囲に相当する歯数が8歯以下の場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(1) 少数歯欠損」、装置の範囲に相当する歯数が9歯以上は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」又は装置の範囲に相当する歯数が全歯にわたる場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(3) 総義歯」の所定点数を、装着を行った場合は1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「3 口腔内装置の装着の場合」の所定点数及び装着材料料を算定する。ただし、エナメルボンドシステムにより連結固定を行った場合は、装着料及び装着材料料は別に算定できない。
(7) 歯肉剥離掻爬手術と併せて、区分番号J063-2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)を行った場合は、歯肉剥離掻爬手術及び区分番号J063-2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)のそれぞれを併せて算定する。
(8) 「5 歯周組織再生誘導手術」は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、区分番号D002に掲げる歯周病検査の「2 歯周精密検査」に規定する歯周精密検査の結果に基づき、根分岐部病変又は垂直性骨欠損を有する歯に対して、吸収性膜又は非吸収性膜の固定を行った場合に、「イ 1次手術」の所定点数により算定する。また、「イ 1次手術」において、非吸収性膜を使用した場合であって、一定期間の経過観察後、非吸収性膜を除去した場合においては、「ロ 2次手術」の所定点数により算定する。なお、歯周組織再生材料料は別に算定する。
(9) 「5 歯周組織再生誘導手術」を実施した場合は、エックス線撮影等により得られた術前の対象歯の根分岐部病変又は垂直性骨欠損の状態、手術部位及び手術内容の要点を診療録に記載する。
(10) 「5 歯周組織再生誘導手術」を算定した場合は、「4 歯肉剥離掻爬手術」は別に算定できない。
(11) 歯肉歯槽粘膜形成手術は、必要があって「6のイ 歯肉弁根尖側移動術」から「6のホ 口腔前庭拡張術」までに掲げる手術を行った場合に算定する。なお、「6のイ 歯肉弁根尖側移動術」から「6のハ 歯肉弁側方移動術」までは1歯単位により算定し、「6のニ 遊離歯肉移植術」及び「6のホ 口腔前庭拡張術」は手術単位により算定する。
(12) 「6のイ 歯肉弁根尖側移動術」は、付着歯肉の幅が狭く付着歯肉の幅の増加を目的として行った場合又は歯周病で深いポケットが歯肉歯槽粘膜境を超えて存在しその歯周ポケットの除去を目的として行った場合に算定する。
(13) 「6のロ 歯肉弁歯冠側移動術」は、歯冠側へ歯肉弁を移動させ露出した歯根面の被覆を目的として行った場合に限り算定する。
(14) 「6のハ 歯肉弁側方移動術」は、歯肉退縮による歯根面露出が認められる少数歯において、歯根面露出部位に隣接歯の辺縁歯肉から側方に歯肉弁を移動させ露出した歯根面を被覆することを目的として行った場合に算定する。
(15) 「6のニ 遊離歯肉移植術」とは、歯肉の供給側より採取した移植片の歯肉を、付着させる移植側へ移植を行うものをいい、付着歯肉幅の拡大、露出歯根面の被覆又は歯槽堤形成等を目的に手術を行った場合に算定する。
(16) 「6のホ 口腔前庭拡張術」は、次により口腔前庭の拡張を行った場合に限り算定する。
イ 頬唇側の口腔前庭が浅いために十分なプラークコントロールが行えない場合
ロ 歯冠修復物を装着するに際して付着歯肉の幅が著しく狭い場合
(17) 「6のホ 口腔前庭拡張術」と同時に行った小帯(頬、口唇、舌小帯等)の切離移動又は形成は、口腔前庭拡張術に含まれ別に算定できない。
(18) 実施に当たっては、診療録に手術部位及び手術内容の要点を記載する。
(19) 区分番号I011-2に掲げる歯周病安定期治療を開始した日以降に行った場合は、所定点数(注1の加算を含む。)の100分の50により算定する。
(20) 「注5」に規定する加算におけるレーザー照射とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、歯肉剥離掻爬手術又は歯周組織再生誘導手術において、明視下で蒸散により歯根面の歯石除去を行うことが可能なものとして保険適用となっているレーザーによる照射をいう。