[留意]D007 血液化学検査

D007 血液化学検査
(1) 「1」のナトリウム及びクロールについては、両方を測定した場合も、いずれか一方のみを測定した場合も、同一の所定点数により算定する。
(2) 「1」のカルシウム及び「7」のイオン化カルシウムを同時に測定した場合には、いずれか一方についてのみ所定点数を算定する。
(3) 「1」の総鉄結合能(TIBC)(比色法)と不飽和鉄結合能(UIBC)(比色法)を同時に実施した場合は、「1」の不飽和鉄結合能(UIBC)(比色法)又は総鉄結合能(TIBC)(比色法)の所定点数を算定する。
(4) 「1」のクレアチニンについて、ヤッフェ法を用いて実施した場合は算定できない。
(5) 「3」のHDL―コレステロール、「3」の総コレステロール及び「4」のLDL―コレステロールを併せて測定した場合は、主たるもの2つの所定点数を算定する。
(6) 「3」の無機リン及びリン酸については、両方を測定した場合も、いずれか一方のみを測定した場合も、同一の所定点数により算定する。
(7) 「4」の蛋白分画、「1」の総蛋白及びアルブミン(BCP改良法・BCG法)を併せて測定した場合は、主たるもの2つの所定点数を算定する。
(8) 「8」のマンガン(Mn)は、1月以上(胆汁排泄能の低下している患者については2週間以上)高カロリー静脈栄養法が行われている患者に対して、3月に1回に限り算定することができる。
(9) 「9」のケトン体及び「19」のケトン体分画の検査を併せて実施した場合は、ケトン体分画の所定点数のみ算定する。
(10) 「10」のアポリポ蛋白は、AⅠ、AⅡ、B、CⅡ、CⅢ及びEのうち、測定した項目数に応じて、所定点数を算定する。
(11) 「13」の有機モノカルボン酸については、グルタチオン、乳酸、ピルビン酸及びα-ケトグルタール酸の各物質の測定を行った場合に、それぞれの測定ごとに所定点数を算定する。
(12) 同一検体について「14」の重炭酸塩及び「36」の血液ガス分析の検査を併せて行った場合は、血液ガス分析の所定点数のみ算定する。
(13) 「17」のグリコアルブミンは、HPLC(2カラム)、HPLC(1カラム)-発色法、アフィニティークロマトグラフィー・免疫比濁法によるグリコアルブミン測定装置を用いて測定した場合、EIA法又は酵素法により測定した場合に所定点数を算定する。
(14) 区分番号「D005」血液形態・機能検査の「9」のヘモグロビンA1c(HbA1c)、本区分「17」のグリコアルブミン又は「21」の1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5AG)のうちいずれかを同一月中に合わせて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定する。ただし、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できる。
(15) 肝胆道疾患の診断の目的で尿中硫酸抱合型胆汁酸測定を酵素法により実施した場合は、「18」のコレステロール分画に準じて算定する。ただし、「13」の胆汁酸を同時に測定した場合には、いずれか一方の所定点数のみを算定する。
(16) 「23」のLDアイソザイム1型は酵素学的阻害法による。
(17) 総カルニチン及び遊離カルニチン
ア 「23」の総カルニチン及び遊離カルニチンは、関係学会の定める診療に関する指針を遵守し、酵素サイクリング法により測定した場合に算定する。
イ 本検査を先天性代謝異常症の診断補助又は経過観察のために実施する場合は、月に1回を限度として算定する。
ウ 静脈栄養管理若しくは経腸栄養管理を長期に受けている筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症若しくは小児の患者、人工乳若しくは特殊治療用ミルクを使用している小児患者、バルプロ酸ナトリウム製剤投与中の患者、Fanconi症候群の患者又は慢性維持透析の患者におけるカルニチン欠乏症の診断補助若しくは経過観察のために、本検査を実施する場合は、6月に1回を限度として算定する。
エ 同一検体について、本検査と区分番号「D010」特殊分析の「8」先天性代謝異常症検査を併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。
(18) 「24」のALPアイソザイム及び骨型アルカリホスファターゼ(BAP)は、アガロース電気泳動法によって、一連の検査によって同時に行った場合に算定する。また、区分番号「D008」内分泌学的検査の「30」の骨型アルカリホスファターゼ(BAP)と併せて実施した場合には、いずれか主たるもののみ算定する。
(19) 「26」のリポ蛋白(a)は、3月に1回を限度として算定できる。
(20) 「27」のヘパリンの血中濃度測定においては、同一の患者につき1月以内に当該検査を2回以上行った場合においては、算定は1回とし、1回目の測定を行ったときに算定する。
(21) 「28」のKL-6、「35」の肺サーファクタント蛋白―A(SP-A)及び「37」の肺サーファクタント蛋白-D(SP-D)のうちいずれかを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。KL-6は、EIA法、ECLIA法又はラテックス凝集比濁法により、肺サーファクタント蛋白-A(SP-A)及び肺サーファクタント蛋白-D(SP-D)は、EIA法による。
(22) 「29」の心筋トロポニンIと心筋トロポニンT(TnT)定性・定量を同一月に併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(23) 25-ヒドロキシビタミンD
ア 「31」の25-ヒドロキシビタミンDは、原発性骨粗鬆症の患者に対して、ECLIA法、CLIA法又はCLEIA法により測定した場合は、骨粗鬆症の薬剤治療方針の選択時に1回に限り算定できる。なお、本検査を実施する場合は関連学会が定める実施方針を遵守すること。
イ 「31」の25-ヒドロキシビタミンDは、ビタミンD欠乏性くる病若しくはビタミンD欠乏性骨軟化症の診断時又はそれらの疾患に対する治療中にECLIA法、CLIA法又はCLEIA法により測定した場合は、診断時においては1回を限度とし、その後は3月に1回を限度として算定できる。
(24) シスタチンC
ア 「30」のシスタチンCは、EIA法、ラテックス凝集比濁法、金コロイド凝集法又はネフェロメトリー法により実施した場合に限り算定できる。
イ シスタチンCは、「1」の尿素窒素又は「1」のクレアチニンにより腎機能低下が疑われた場合に、3月に1回に限り算定できる。ただし、「32」のペントシジンを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(25) 「32」のペントシジンは、「1」の尿素窒素又はクレアチニンにより腎機能低下(糖尿病性腎症によるものを除く。)が疑われた場合に、3月に1回に限り算定できる。ただし、「30」のシスタチンCを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(26) 「33」のイヌリンは、「1」の尿素窒素又は「1」のクレアチニンにより腎機能低下が疑われた場合に、6月に1回に限り算定できる。ただし、「1」のクレアチニン(腎クリアランス測定の目的で行い、血清及び尿を同時に測定する場合に限る。)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(27) 「36」の血液ガス分析の所定点数には、ナトリウム、カリウム、クロール、pH、PO2、PCO2及びHCO3-の各測定を含むものであり、測定項目数にかかわらず、所定点数により算定する。なお、同時に行ったヘモグロビンについては算定しない。
(28) 「36」の血液ガス分析は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ算定できるものであり、委託契約等に基づき当該保険医療機関外で実施された検査の結果報告を受けるのみの場合は算定できない。ただし、委託契約等に基づき当該保険医療機関内で実施された検査について、その結果が当該保険医療機関に速やかに報告されるような場合は、所定点数により算定する。
なお、在宅酸素療法を実施している入院施設を有しない診療所が、緊急時に必要、かつ、密接な連携を取り得る入院施設を有する他の保険医療機関において血液ガス分析を行う場合であって、採血後、速やかに検査を実施し、検査結果が速やかに当該診療所に報告された場合にあっては算定できるものとする。
(29) 「36」のⅣ型コラーゲン又は「40」のⅣ型コラーゲン・7Sは、「37」のプロコラーゲン-Ⅲ-ペプチド(P-Ⅲ-P)又は「48」のMac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体と併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。
(30) 「36」の心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)定性及び定量は、ELISA法、免疫クロマト法、ラテックス免疫比濁法又はラテックス凝集法により、急性心筋梗塞の診断を目的に用いた場合に限り算定する。
ただし、心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)定性又は定量と「36」のミオグロビン定性又は定量を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(31) 「36」のアルブミン非結合型ビリルビンは、診察及び他の検査の結果から、核黄疸に進展するおそれがある新生児である患者に対して、生後2週間以内に経過観察を行う場合に算定する。
(32) 「39」のセレンは、長期静脈栄養管理若しくは長期成分栄養剤を用いた経腸栄養管理を受けている患者、人工乳若しくは特殊治療用ミルクを使用している小児患者又は重症心身障害児(者)に対して、診察及び他の検査の結果からセレン欠乏症が疑われる場合の診断及び診断後の経過観察を目的として実施した場合に限り算定する。
(33) 「44」のALPアイソザイム(PAG電気泳動法)、「24」のALPアイソザイム及び骨型アルカリホスファターゼ(BAP)及び区分番号「D008」内分泌学的検査の「30」の骨型アルカリホスファターゼ(BAP)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(34) 腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP-1)定性
ア 「42」の腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP-1)定性は、免疫クロマト法により、破水の診断のために妊娠満22週以上満37週未満の者を対象として測定した場合に限り算定する。
イ 「42」の腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP-1)定性及び区分番号「D015」血漿蛋白免疫学的検査の「23」癌胎児性フィブロネクチン定性(頸管腟分泌液)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(35) 「43」のヒアルロン酸は、サンドイッチバインディングプロテインアッセイ法、125Iによる競合法を用いたバインディングプロテインアッセイ法、LA法(測定機器を用いるもの)又はLBA法による。ただし、本検査は慢性肝炎の患者に対して、慢性肝炎の経過観察及び肝生検の適応の確認を行う場合に算定できる。
(36) 「43」のレムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)は免疫吸着法-酵素法又は酵素法により実施し、3月に1回を限度として算定できる。
(37) 「45」の心室筋ミオシン軽鎖Iは、同一の患者につき同一日に当該検査を2回以上行った場合は、1回のみ算定する。
(38) 「46」のアセトアミノフェンは、同一の患者につき1月以内に2回以上行った場合は、第1回目の測定を行ったときに1回に限り算定する。
(39) 「48」のマロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL)は、冠動脈疾患既往歴のある糖尿病患者で、冠動脈疾患発症に関する予後予測の補助の目的で測定する場合に3月に1回に限り算定できる。ただし、糖尿病患者の経皮的冠動脈形成術治療時に、治療後の再狭窄に関する予後予測の目的で測定する場合、上記と別に術前1回に限り算定できる。
(40) Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体
ア 「48」のMac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体は、2ステップサンドイッチ法を用いた化学発光酵素免疫測定法により、慢性肝炎又は肝硬変の患者(疑われる患者を含む。)に対して、肝臓の線維化進展の診断補助を目的に実施した場合に算定する。
イ 本検査と「37」のプロコラーゲン-Ⅲ-ペプチド(P-Ⅲ-P)、「36」のⅣ型コラーゲン、「40」のⅣ型コラーゲン・7S又は「43」のヒアルロン酸を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(41) オートタキシン
ア 「48」のオートタキシンは、サンドイッチ法を用いた蛍光酵素免疫測定法又は化学発光酵素免疫測定法により、慢性肝炎又は肝硬変の患者(疑われる患者を含む。)に対して、肝臓の線維化進展の診断補助を目的に実施した場合に算定する。
イ 本検査と「37」のプロコラーゲン-Ⅲ-ペプチド(P-Ⅲ-P)、「36」のⅣ型コラーゲン、「40」のⅣ型コラーゲン・7S、「43」のヒアルロン酸又は「48」のMac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(42) 「51」のリポ蛋白リパーゼ(LPL)は、高トリグリセライド血症及びLPL欠損症が疑われる場合の鑑別のために測定した場合に限り算定できる。また、ヘパリン負荷が行われた場合、投与したへパリンは区分番号「D500」の薬剤として算定できるが、注射料は算定できない。
(43) 「52」の肝細胞増殖因子(HGF)はELISA法により、肝炎にて劇症化が疑われる場合又は劇症肝炎の経過観察に用いた場合に限り算定する。
(44) 「55」の2,5-オリゴアデニル酸合成酵素活性は、ウイルス血症を伴う慢性活動性肝炎患者のインターフェロン製剤の投与量及び治療効果の判定に用いた場合に算定する。
(45) ロイシンリッチα2グリコプロテイン
ア 「57」のロイシンリッチα2グリコプロテインは、潰瘍性大腸炎又はクローン病の病態把握を目的として測定した場合に3月に1回を限度として算定できる。ただし、医学的な必要性から、本検査を1月に1回行う場合には、その詳細な理由及び検査結果を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載する。
イ 「57」のロイシンリッチα2グリコプロテインと、区分番号「D003」糞便検査の「9」のカルプロテクチン(糞便)又は区分番号「D313」大腸内視鏡検査を同一月中に併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。
(46) 「58」のプロカルシトニン(PCT)定量又は同半定量は、敗血症(細菌性)を疑う患者を対象として測定した場合に算定できる。ただし、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「50」のエンドトキシンを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(47) プレセプシン定量
ア 「59」のプレセプシン定量は、敗血症(細菌性)を疑う患者を対象として測定した場合に算定できる。
イ 「59」のプレセプシン定量と「58」のプロカルシトニン(PCT)定量、同半定量又は区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「50」エンドトキシンを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(48) 「61」のインフリキシマブ定性は、関節リウマチの患者に対して、インフリキシマブ投与量の増量等の判断のために、イムノクロマト法により測定した場合に、患者1人につき3回を限度として算定できる。
(49) 「62」の1,25-ジヒドロキシビタミンD3は、ラジオレセプターアッセイ法、RIA法又はELISA法により、慢性腎不全、特発性副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、ビタミンD依存症Ⅰ型若しくは低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病の診断時又はそれらの疾患に対する活性型ビタミンD3剤による治療中に測定した場合に限り算定できる。
ただし、活性型ビタミンD3剤による治療開始後1月以内においては2回を限度とし、その後は3月に1回を限度として算定する。
(50) 「63」の血管内皮増殖因子(VEGF)は、クロウ・深瀬症候群(POEMS症候群)の診断又は診断後の経過観察の目的として、ELISA法により測定した場合に、月1回を限度として算定できる。
(51) FGF23「64」のFGF23は、CLEIA法により、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の診断時又は治療効果判定時に測定した場合に限り算定できる。ただし、診断時においては1回を限度とし、その後は腫瘍性骨軟化症の場合には腫瘍摘出後に1回、薬剤性の場合には被疑薬中止後に1回を限度として算定する。
(52) 血液化学検査の注に掲げる検査と併せて、血液化学検査の注に掲げる検査を準用することが認められている検査を行った場合は、当該検査も注に掲げる項目数の算定に含める。
(53) 血液化学検査の注のハの注に規定する10項目以上の包括点数を算定する場合の入院時初回加算は、入院時に初めて行われる検査は項目数が多くなることに鑑み、血液化学検査の注に掲げる検査を10項目以上行った場合に、入院時初回検査に限り20点を加算するものであり、入院後初回の検査以外の検査において10項目以上となった場合にあっては、当該加算は算定できない。また、基本的検体検査実施料を算定している場合にあっても、当該加算は算定できない。